
2011.07
第29回 全国名物店員訪問記(1/2)
【著者:行 達也】
今回のTALKへ行きたいは、これまた近くなんですが、タワーレコードです。しかも社長(笑)。実は私、約10年ほど前までタワーレコードに勤務しておりまして、その時の上司が現在のタワーレコード社長、嶺脇育夫氏なのです。なぜこのタイミングで嶺脇さんにお話を伺いたかったかといいますと、低迷するCDショップの救世主とも言えるAKB48が猛威を振るう中、今こそアイドルをキチンと売るべきではないか?の結論に至ったこの業界において、まさに絶妙のタイミングでタワーレコードが立ち上げたアイドル専門レーベルT-Palette Records(ティパレット レコード)こそ、この嶺脇氏が陣頭指揮にあたっているのです。というワケでこのあたりの経緯を含めて、今後の展望などを聞かせてもらいに行きました。
-ご無沙汰しております。まずは市況的にいかがでしょうか?
「やっぱりメジャーの作品が売れなくなったというのが今の不況の影響として大きいと思います。元々、タワーはHMVさんや新星堂さんなんかと比べても、いわゆるメガクラスのヒットアイテムっていうのがそんなに売れなかったんですよ。ってユキは知ってると思うけど(笑)。どちらかというとインディーズやメジャーでも地味な方が売れてたから、そういう意味では全体の売上のピークは他よりもっと後の方だったんですけどね。だから100万クラスのアイテムをバンバン売るには立地として微妙なこともあって、そうじゃなくて10万クラスのを10アイテム売れば、同じじゃん、みたいな感じで取り組んでいたと思います。」
本当にタワーって、そういう意味では自由というか、元々、嶺脇さんは大阪の心斎橋店にいらして、自分もそこで採用されたんです。面接も嶺脇さんで「どういうのが好きなの?」って聞かれて「スライとかPファンクとかプリンスです」って答えたら「ソウル好きって伸びないんだよねー」って(笑)。まあ、それはいいんですが(本当ですが)、この店の立地がアメリカ村という極めて特殊な場所だったことから、他の店とチャートのラインナップが全然違ったんです。
タワーがメジャー志向に転向しつつあった時でも相変わらずワケのわかんないインディーズが売れていて、しかもそんなモノばっかりプッシュして(笑)でも「要するに売れれば何でもいいでしょ?」という嶺脇イズムのおかげでこの店は本当に最後までタワーらしさを持った店として存在できました。今の自分のバイヤーとしてのスタンスはこのときの嶺脇さんにすべて叩き込まれたと言っても過言ではありません。
やがて、新宿にあった2店舗が大きな駅ビルの完成に合わせて、併合されることになりました。そこで嶺脇さん共々、自分も異動することになったワケです。
「あの頃、モーニング娘。が全国的にスゴイ勢いで売れてて、でもタワーはまだまだ“アイドルなんて”っていう風潮が残ってたから他のチェーン店と比べて全然売れてなかった。プッシュもちっともしてなかったし。でも、唯一、新宿店だけはプッシュしてたでしょ?イビツな感じだったけど(笑)。」
-そうでしたそうでした(笑)
「で、ある程度は売れるようになったんだけど、その後もちゃんとハロプロコーナーを設置して、担当もいて、みたいな感じでずーーっとやってきたのね。で、今知ってる?スゴイよ。イニシャルで○○枚」(超大量)
-げーっ!!!
「ハッキリ言って、今のハロプロをこれだけ応援してるお店ってそうそう無いと思う。だからお客さんもそんな応援している空気を感じとって、わざわざ買いに来てくれてるんだと思うんだよね。続けることが大事なんだというのを改めて思い知った感じです」
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