2018.6
第79回(2/3)
【著者:行 達也】
―こればっかりはしょうがないですよね。CDショップ大賞の目的は『店に足を運んでもらう』なんですけどね。なかなか難しいところですね。テーマ自体は今でもコレなんですよね?
「ええ、一緒です。もちろん発信するCDショップ店員さんが一番大事なんですけれど。一番最初は“この国には、過小評価されている音楽が多すぎる。”だったんですけどね。レコード会社からクレームのような事を言われたりして。『それって我々のプロモーションが足りないってことですか?』って。」
―なんかレコード会社ってめんどくさい…
「(笑)誤解を与えるのは本意ではありませんし、段々とCDショップ店員さんの投票数も増え、選定する人自身にも意識を促し、CDショップならではのスローガンをという事で、現在は『行かなきゃ 会えない 音がある』です。」
―大畑さん(フタバ図書)考案の!キャッチコピー募集してダントツこれでしたもんね。
「そうです!ホントに名文句です。とにかくお店に来てほしいっていう思いが目標だったんですよね。店で働く人が魅力的な提案をすることで呼び水になるワケなので、お店に行きたくなるアイテムを選出しましょうっていうね。そこはずっと変わってないです。」
―ボクは今、店の人間ではなくて、レーベルとしてCDの作り手側にいるんだけど、そういう立場に変わって、なお一層、店の重要性を感じています。つい最近、2組の同じぐらいのバリューのアーティストをリリースしたんです。Aは完全にパッケージだけで、ダウンロードもストリーミングも配信は一切ナシっていう方式。Bについてはパッケージも出すけど、ダウンロードもストリーミングも同時リリースっていう形。2組ともトータルの売上はだいたい同じぐらいだったんですけど、当然パッケージがたくさん売れたのはAなので、タワーの店を覗いてみてもAの店頭の盛り上げ方の方が断然熱いんですね。同じ会社だからっていうのもあるかもしれないんだけど、やっぱり店頭が熱い方が売れている印象が強いんです。でも、印象ってすごく大事で、『売れてるかも』みたいな印象だけ買う動機に繋がるので。だからこそ、店があることで可視化しやすい面はあるので、存在意義は大きいと思います。
「よく言われることですが、自分に関連のあることはネットで調べるんだけど、そこだけになってしまう傾向があって、それが店頭だと自分の意思とは関係ないところで偶然の出会いがある可能性が高いと思うんです。」