2019.5
Vol.245(1/2)
【著者:おすぎ】
「神と共に」
「ドント・ウォーリー」
“令和”と元号が変わりました。“昭和”生まれの私は、これで三時代を生きることになりました。“平成”の30年は色々なことがありました。“ひばり さん”が亡くなったことは個人的に大きな事でした。三十代の終わりに初めて、お目にかかり口をきいていただくようになり、パーティーに呼んでいただいたりするようになって、大阪でのコンサートに楽屋見舞いをしようとピーコと一緒に伺ったら、楽屋に入るのは断られ、劇場での指定券を渡されました。で、劇場に入って案内された席は2階の一番前の真ン中の席でした。ライトが消え、幕が開き“真っ赤な太陽”を歌いながら“ひばり さん”が登場し、ワンフレーズを歌ったあと「今日は、私の友人の“おすぎとピーコ”ちゃんが来てくれています」という言葉が終わるか、終らないうちに、私たちの席がスポットライトで照らされたのでした。そういう、お気遣いがサラッと出来る方でいらっしゃいました。私たち兄弟にとって生涯、忘れられない方です。
見逃したら一生の“損”「神と共に」
では映画にしましょう。今月は韓国の超大作「神と共に」を紹介しましょう。5月24日に“第一章:罪と罰”が公開され、6月28日に“第二章:因と縁”が公開されます。監督はキム・ヨンファで脚本も彼が書いています。
ストーリーは消防士のジャホン(チャ・テヒョン)が高層ビルの火災現場から、幼い少女を助け出した直後、彼を支えていたロープが切れ、地面に墜落したところから始まります。本人は気づいていませんが、当然“死体”となっています。しかし、本人は、まだ自分は生きているという感覚で、あたりを見まわすと、3人の人物が傍におります。ここは冥界で、ルールにのっとって、人は亡者になると49日間のうちに7つの地獄で裁判を受けなくてはならないのであります。この3人の人物はジャホンの裁判を支援する人たちなのです。一番、年嵩(としかさ)なのが冥界のスーパー弁護士カンニム(ハ・ジョンウ)、若い男で武術に長けた警護担当ヘウォンメク(チュ・ジフン)、少女のように純真な心を持つ補助弁護士ドクチュン(キム・ヒャンギ)であります。ジャホンは3人の支援を受けて“殺人”“怠惰”“ウソ”“不義”“裏切り”“暴力”“天倫”の7つの地獄で罪状全てを晴らすと現世に生まれ変われるのです。また、支援する3人も合計49人の亡者を転生させることで人間に生まれ変われる約束をされていたのです。果たして、ジャホンは人間として生まれ変われるのでしょうか…。
ストーリーは裁判をひとつ、ひとつ見せていき、最後の“天倫地獄”で閻魔大王(イ・ジョンジェ)による判決によって決まります。その地獄も美事な映像で展開されていきますが、見所は、その地獄と地獄との間に現われてくる中間点、まあ、言ってみれば風景、場所なのですが、これの表現、映像が秀逸なのであります。例えば“火蕩霊道”は火炎と煙に満ちた道であり“真空深穴”は犯した罪の重さによって、その深さが決まる“暴力地獄”へ通ずる穴なのです。“千古砂漠”は最後の天倫地獄へ向かうため通る広大な砂漠なのであります。
他にも“三途の川”“寒氷峡谷”“天地鏡”“剣樹林”などもあり、その映像のスゴさは、どれも息を呑むほどなのであります。とくに“千古砂漠”は、果てしない砂漠の中に、ティラノサウルスやステゴサウルスらの恐竜たちが現れてジャホンらに襲いかかるのであります。それらの発想の素晴しさ、特撮の美事さは、今まで見たことの無いものであります。“第一章”140分、“第二章”141分との大長場でありますが一見の価値、いえ、1,000倍は充分あります。何度でも書きますが、是非、是非、劇場に足を運んでいただきたく、見逃したら一生の“損”だと私は思っています。