2019.5
Vol.244(2/2)
【著者:おすぎ】
「神と共に」
「ドント・ウォーリー」
敬嘆の演技は一見の価値あり!「ドント・ウォーリー」
次の作品はガス・ヴァン・サント脚本・監督の「ドント・ウォーリー」であります。ポートランドの街を、赤い髪をなびかせて、猛スピードで車椅子を走らせていたという、風刺漫画家ジョン・キャラハン。この強烈なキャラクターに魅せられたのは、今は亡きロビン・ウィリアムズだった。彼はキャラハンの自伝“Don’t Worry, He Won‘t Get Faron Foot”の映画化権を得ていた。ウィリアムズから相談を受けていたのが監督のガス・ヴァン・サントで、ウィリアムズ亡き後、この自伝をもとに脚本を書き、企画から20年経った2018年、ついに映画は完成したのです。
ウィリアムズの心を継いだのは、ホアキン・フェニックスで、可能な限りのリサーチを重ねてキャラハンの仕草から話し方まで体得し、人生に迷って絶望を味わった男の奇跡の半生を、その内面に迫る演技で体現しています。とにかく、異色の人生を送った男を、ここまで演じきるとは…敬嘆の演技は一見の価値あり!!
【おすぎ】
1945年横浜生まれ。デザイナー、歌舞伎座テレビ室制作を経て、映画評論家となる。
ピーコとコンビを組み、「おすぎとピーコ」で「久米宏の土曜ワイド・ラジオ・TOKYO」など
ラジオを中心に活躍。以後、ラジオ、テレビ、講演や映画祭、トークショウ出演の他に、
新聞、雑誌、PR誌などでの映画評論執筆、対談など、多方面で活躍中。
本誌連載コラムを再録した「夢の十三夜日記」(ダイヤモンド社)発売中。