2019.3
Vol.242(1/3)
【著者:おすぎ】
「グリーンブック」
「運び屋」
「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」
ベランダにある鉢の梅が満開になりました。花たちが“春”を告げているようで嬉しいです。今は2月19日、気温は高く、この先、2週間は暖かい日が続く、と天気予報が告げていますから、もう“春”は間近なのかもしれません。有難いことに、私は“花粉症”がないので、毎日、いや毎晩、お酒で春を満喫しています。何が嬉しいって、今月の映画はおすすめ作品が幾つもあって、この仕事をしていて、久しぶりに充実した気持ちであります。
端正に作られた、美事な映画「グリーンブック」
まずは「グリーンブック」から、舞台は1962年のアメリカ。“グリーンブック”とは1936年から1966年までヴィクター・グリーンにより毎年出版された黒人が利用可能な施設を記したガイドブック。ジム・クロウ法の適用が軍や州によって異なる南部で特に重宝された、といいます。
主人公のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は、ニューヨークのナイトクラブ“コパカバーナ”の用心棒を務めていたが、改装のため2ヶ月間の閉店ということで別の仕事をみつけなければならなくなり、ある人物が運転手を探していると紹介され、そこを訪ねることに…。なんと“そこ”にはカーネギーホールの上の階に住む黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)がいた。シャーリーが求めていたのは、クリスマスまでの2ヶ月間、南部を回るコンサート・ツアーの運転手だった。一度は断ったトニーだったが、差別が色濃く、黒人にとっては危険な南部に行くのにトニーの“どんなトラブルも解決する腕”がどうしても欲しかったシャーリーは、トニーの希望条件を全面的にのんで雇うことに…。
出発の日、レコード会社から“グリーンブック”を渡されるトニー。それは南部を旅する黒人が泊まれるホテルが書いてあるガイドブックだった。とプロローグがあって、このあと、演奏旅行の様が描かれていきます。私は黒人差別のために、泊まれるホテルとか黒人が使っていい場所、ダメな場所など記したものがあるのを知らなかったので、大変、興味を持って見ることになり、それにしても、今から60年くらい前に、こんなアメリカがあったことに衝撃を感じながら見ました。映画は非常に端正に作られています。著名なピアニストが黒人という事で、信じられない楽屋や食べ物を与えられたり、事あるごとに“差別”を露出する中で、単純なトニーが目覚めていく様を描いていきます。美事な映画であります。