2019.3
Vol.242(2/3)
【著者:おすぎ】
「グリーンブック」
「運び屋」
「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」
クリントの“年寄り”を是非見て「運び屋」
次は、クリント・イーストウッドの快作「運び屋」であります。俳優のクリント・イーストウッドが7年振りにスクリーンに姿を見せます。自身の監督作としては「グラン・トリノ」以来、10年振りの主演作であります。
退役軍人のアール(C・イーストウッド)は園芸家として評価されていましたが、数十年後、ネットの普及とともに売り上げは落ち込み、自宅も農園も差し押さえられて、90歳にもなろうというのに金もなく、孤独な日々を送っていた。忙しさに紛れて、家族との付き合いを蔑にし、娘の結婚式にも出席しない生活をしていたので、その寂しさは半端ではなかった。
そんななか、メキシコ系の男から「車の運転さえすれば金になる」と紹介された仕事は、メキシコの麻薬組織によるコカインの運び屋だった。最初、荷物は何なのか見ようともしなかったが、手にする金額がかなり高額なので、ある日、中身を見てしまい荷物が何かを知るのですが、多額の報酬に目をつぶることに…。新車を買ったり、差し押さえられた自宅を取り戻したり、退役軍人の施設に寄付したりしていたアールの前に現われたのが麻薬取締局の捜査官コリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)だった…。
共演したブラッドリー・クーパーは88歳のクリントに対し「アールという役を演じるのに“年寄りのように演じなければならない”という点が彼のすごいところだ」と指摘しています。「クリントはカンガルーみたいに椅子から飛び出すが、アールは違う。だから、アスリートみたいなクリントが、もう何年も棺桶に片足を突っ込んでいるような人物を演じるのを見るのが楽しかった…」。
そう、クリントの年寄りを絶対、見て欲しいのであります。