2019.1
【著者:村松 行人】
パッケージのサバイバル戦略
①頑張る米国のレンタル・チェーン(2/4)
今どきのレンタル店の風景がTVニュースに
前回、米国のTVドラマを観ていたら「夜はビデオ屋さんで古い映画でも借りて~」といった台詞が出てきて驚いたと書きましたが、それどころではなく去る11月にはサウスカロライナのNBCテレビの地方局WYFFが地元ビデオレンタル店「Family Video」を中継放送したといいますから、驚きを通り越して呆れてしまいました。「まだビデオ屋さんに行く人がいるのか?」といったテーマでキャンペーン中の賑わいや来店客へのインタビューを紹介していました。
Family Videoは米国のイリノイ州グレンビューをべースに現在も700店以上のレンタル店を展開しているチェーンのようです。
TVニュースですから早々に消去されてしまうかもしれませんが下記WYFF局のURLで昔懐かしい米国の小さなレンタル屋さんの光景が見られると思います、興味のある方はFamily Video.comもどうぞ。
画面には10年前と殆ど変わらない「アメリカの田舎のビデオ屋さんと地元のお客様」が映っていました。
キャンペーン中なので「お好きな旧作1枚1ドル」とか「1ドルで1枚借りるともう一枚無料」といった旧作のキャンぺーンの大きなPOPが棚の上に乗っています。セル・コーナーではDVDが4ドルから、BDは5ドルから、UHD BDは12ドルからと格安ですが、日本とは仕入価格が違います。でも人気の新製品UHD BDを「2枚で$17or$22」(作品により)と思い切った価格で売り出していましたから、UHD BDもよく売れているのでしょう。UHD BDの普及は加速しそうです。
このFamily Videoについては米国のビジネス雑誌フォーブスが昨年2月に「最後のビデオレンタル・チェーン」と題して取材記事を掲載しています。ブロックバスターやムービーギャラリーといった大手レンタル・チェーンが市場から姿を消して6年以上が経過しているのに米国の19州とカナダに759店舗(当時)ものチェーン店を展開する同社がどうして未だに健在なのか、オーナーのキース・フーグランドさんがインタビューに答えています。
「大手チェーン破綻の原因は映像市場のデジタル化だと誰しもが思っているがそうではない。負債が多すぎ、安易なリース契約が目立ち、RSS契約でスタジオ各社と売上をシェアしていたので利益を確保出来なかった。経営を間違えたのだ」
同チェーンの年間売上は約4億ドル、1店舗当たりの平均年商は約50万ドルと、日本のレンタル店/チェーンに比べて小規模ですが一般に米国のローカル店は以前からこの程度、日本の店に比べて売上も在庫も小規模です。但し米国では仕入がセルと同額程度ですから日本から見れば高い利益率のようです。