2018.7
Vol.235(3/3)
【著者:おすぎ】
「アメリカン・アサシン」
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
「ウインド・リバー」
ネイティブアメリカンの問題を鋭く描く秀作「ウインド・リバー」
もう一本。「ウインド・リバー」。アメリカ中西部、ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。雪が降り、その深い雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンのナタリー(ケルシー・アスビル)が、なぜか薄着と裸足で死んでいた。前夜の気温は約マイナス30度。死因は肺が凍って破裂したからだった。そう、極限の冷気を吸い込んだためだった。何故、ナタリーは雪原を走って息絶えたのか…。第一発見者となった白人ハンター、コリー(ジェレミー・レナー)は、やってきたFBIの新米女性捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)の捜査を助けることに…。コリーはナタリーが3年前に失踪し、変わり果てた姿で発見された娘の親友だったと、その日、コリーの自宅に泊まったジェーンに語った。ジェーンは、部外者のコリーが献身的に捜査に協力してくれる理由を察するのだった。果たして、ナタリーを殺し、彼女の恋人のマット(ジョン・バーンサル)をも殺した犯人を捜す事は出来るのか。監督・脚本はテイラー・シェリダン。彼は言う。この作品は成功しようが失敗しようが、作らなければならない映画だった。苦しみを背負ったネイティブアメリカンの友人たちに対する敬意という点から…。秀作であります。
【おすぎ】
1945年横浜生まれ。デザイナー、歌舞伎座テレビ室制作を経て、映画評論家となる。
ピーコとコンビを組み、「おすぎとピーコ」で「久米宏の土曜ワイド・ラジオ・TOKYO」など
ラジオを中心に活躍。以後、ラジオ、テレビ、講演や映画祭、トークショウ出演の他に、
新聞、雑誌、PR誌などでの映画評論執筆、対談など、多方面で活躍中。
本誌連載コラムを再録した「夢の十三夜日記」(ダイヤモンド社)発売中。
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