2019.4
【著者:村松 行人】
パッケージのサバイバル戦略
④迫りくる5G時代をどう生き残るか(1/4)
本格化するか日本のSVODサービス
先日、電車の中で若者が「映画はスマホだと見にくいし、すぐ電池がなくなってしまう」なんて話をしていました、映画を観たい時はレンタル屋さんで借りるのがイチバンみたいなこと言い出したので、こんな人もまだいるのかと感心してしまいました。
というのも最近は次世代スマートフォン[5G]の商用化とかスマートテレビの家庭普及率の高まりなどというレンタル市場の先行きが心配になるニュースが色々メディアを賑わせているからです。
特に気になるのが先日来、大きく報道されているNTTドコモとウォルト・ディズニー日本法人との提携です。実効通信速度が現行の100倍といわれる5Gの高機能に着目し「5G世代スマートフォンのメインコンテンツは動画」といった考えからの提携とのこと。
前回書きましたが米国ディズニー社には今年末にSVODサービス「Disny+」をスタートさせる予定です。今回のドコモとの連携内容も「ディズニーデラックス」という名称で「ディズニー」「ディズニー/ピクサー」「スター・ウォーズ」「マーベル」の4ブランドの作品が見放題、月額料金も700円とリーズナブルです。
しかし上記の若者ではありませんが、ひとまずディズニーの数々のコンテンツの魅力は別にして、本当にスマートフォンという多機能通信端末にとって動画、特に映画視聴へのニーズがそれほど大きいのかという疑問が残ります。動画へのニーズがあるとしてもメインはYouTubeやSNS系などの短い動画だと思います。5G時代になってもスマートフォンの本命はユーザーに喜ばれる様々なアプリとSNS機能、そしてゲームではないでしょうか。
5Gなら2時間の映画が3秒でダウンロードできると盛んに報じられていますが、「ディズニーデラックス」もライバルのauと提携した「Netflix」もストリーミングですからスマートフォンで観るならそれこそ電池もなくなりますし、Wi-Fiルーターに切り替えでもしない限りデータ通信料がかさんでしまいます。
さらに、こうした動画視聴へのニーズに対応して「ユーザーは大きな画面で映像を観たいだろう」という配慮から考案されたのが色々報道されている折り畳み式の大画面スマートフォンですが、この新製品本当に売れるのでしょうか。
去る2月にバルセロナで開催されたMWC (Mobile World Congress)に出品されたサムスンの折り畳み式タブレットは1,980ドル(約22万円)、ファーウェイのMate Xは2,299ユーロ(約30万円)。この値段は若者から中高年まで幅広い消費者が持つにはあまりにも高額です。折り畳み式ではない機種でも現行のものをはるかに上回る価格になりそうですし、法改正によりこれからはスマートフォンの本体価格と回線使用料とのセット割引が出来なくなります。
むしろこれからの消費者のスマートフォンへのニーズは、使い勝手の良い、より低価格な機種に向かうのではないでしょうか。既に日本ばかりでなく世界市場でiPhone等の高級機種の売れ行きが大きく落ち込んでいるようです。