2018.12
【著者:村松 行人】
コンテンツ大競争時代が来た
⑩強まる映像配信への流れの中で(3/4)
リアル店舗を脅かすテレビ通販とネット通販
先日、テレビ通販とネット通販の違いについて、元テレビ通販大手の元CEOの方がテレビ番組で分かりやすく語っているのを聞き、なるほどと思いました。両者は客層の違いをベースとしてそれぞれの客層に合った商品の選定、売り方、宣伝方法、販売ルートを巧みに組み合わせた、テレビ通販ならでは、ネット通販ならではのマーケティングを展開しています。
テレビ通販の客層は主に中高年から高齢者層、どちらかといえばインターネットになじまない人達のようです。一方のネット通販の客層は10代から40~50代の若い人達で、PCやスマートフォンがない生活は考えられない世代です。両者の大きな違いは新しいモノやサービスへの理解力と情報量の差だと思います。
こうした客層特性をきちんと押さえることは重要です。それによりお客様に何を売るか(商品・サービスの選定)と、どうお勧めするか(マーケティング)を間違いなく決めることが出来ます。
情報量が少なく、IT技術等への理解力の乏しいテレビ通販の客層は自分で選ぶ能力が十分ではありませんから、お客様が喜んで購入してくれそうな商品やサービスを厳選し「これがベストですよ」とレコメンドする。つまり①売る側が売るモノを決める、②説得力のある懇切丁寧な説明、の二つが不可欠です。そのレコメンドの優劣が売り上げを左右することは言うまでもありません。
一方、豊富な情報量と理解力のあるネット通販の客層にとっては商品やサービスを自分で選ぶ楽しさの提供が大事、ポイントは十分な選択肢の提供です。ネット画面をスクロールして商品をあれこれ選び商品をゲットする行為はリアル店舗でのショッピングと同等の楽しみでもあるのでしょう。
最近はネット通販にも動画がよく使われるようになりましたが、テレビ通販の動画の使い方とはかなり違うようです。限られた商品やサービスを懇切にレコメンドするのではなく、例えば商品が並ぶページをスクロールしていて気になるモノが目についた場合、クリックするとその商品の紹介動画を観ることが出来る、といった使い方です。よくインフルエンサーといった若者に影響力のある人物が起用されます。また個人の商品出品者が動画サイトにアップロードする例も増えているようですし、逆に投稿動画サイトに商品情報を埋めえ込み通販サイトに誘導するといた手口等々、色々です。
もう一つ最近目立つのは「いいね!」に象徴される他人の評価を気にする若者の購買行動です。関連して「これを買った人はこちらの商品もよく買います」といったレコメンドの効果も無視出来ないとか。