2019.1
【著者:行 達也】
「2018年を振り返る」(2/2)
リスナーとしての立場ですと、昨年は男性ソロアーティストが豊作だった気がします。東郷清丸、折坂悠太、崎山蒼志などなど若くて荒削りだけど、ちゃんとオリジナリティーのある才能が爪痕を残した年でした。顔だけで音楽を聴いてるような女子供ウケしか狙ってない紋切型のロックバンドがシーンを賑わせている現状をブッ壊していただきたいです。Music Videoだとコレはもう2年前の作品なんですが、昨年見つけておそらく一番観たのがshowmoreの「rinse in shampoo」です。歌の世界とシンクロする映像がシンプルだけど確実に「コレ以外ありえない」っていうぐらいマッチしていて、本当に名作だと思います。
あと一番ハマったのはK-POPでした。周りからは「え、今さら…」と白い眼で見られたものですが、たまたま耳にしたRED VELVETに心底やられて、アルバム6枚ぐらい出してますが、もう全タイトル愛聴盤です。正直、日本のアイドルは作品が面白くても歌の表現力の乏しさにゲンナリすることが多いのですが、K-POPにはその残念感はほとんどありません。歌やダンスの実力が無いと人気が伴わないという韓国の事情も大きく関係していると思いますが。
来日公演もオッサン一人で出向いたのですが、周りがほとんど高校生でしかも男女比がほぼ50:50というのが気持ちよかったです(肩身は狭かったけど)。日本のアイドルだとこんな光景は見られないですからね。ライヴだと他にサンダーキャットのプロデューサー、ルイス・コールの来日公演が今っぽくて良かったです。ステージ上はまるっきり一人で、キーボードやったりドラムやったりと部屋に遊びに来た友達に聴かせてるみたいに、繋ぎとか構成とかまったく考えてない風で新しかったなぁ。とにかく彼は昨年出したアルバムが素晴らしかったです。ここ数年フライング・ロータス主宰のブレインフィーダーレーベルの作品は本当にすごい。完全に新しい潮流を作っている気がします。
と、まあなんだかんだ言うといて、結局は年末の大貫妙子の品川教会のライヴを観て「やっぱり今年一番のライヴだったなあ」って感想になりました(去年と一緒)。今年も一年よろしくお願いします。
【行 達也】
1968年大阪生まれ。長年勤続したタワーレコードを退職後
2004年東京下北沢にmona records(モナレコード)を開店。
CDショップにカフェ、ライブスペースを併設した小さな音楽総合施設を目指す。
http://www.mona-records.com
現在、某CDショップのレーベル部門にて勤務。
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