2019.3
【著者:村松 行人】
パッケージのサバイバル戦略
③動画配信では観られない映画(2/4)
参考にしたい実店舗のIT各社への逆襲
「テーマパークの出口に大きなギフトショップがあるのには理由がある」とMedia Play Newsは書いています、人々は楽しかった一日をいつまでも忘れないようにとテーマパークのグッズを色々買って帰ります。同様に人々にとってパッケージは映画館の興奮の延長線上にあるモノ、といった役割も大きいのではないでしょうか。プロモーションには映画館等の興行市場とのコラボレーションも視野に入れて考えるといいかもしれません。
それは別として今年に入りGAFA等のIT企業への様々なリアル店舗の反撃が報じられるようになりました。そうした各リアル店舗の取組みは、これからのレンタル店生き残りへの参考になると思います。
これからのリアル店舗の方向性は①「実店舗ならではのネット通販にはない魅力を磨く」②「自らもネットに進出しリアル店舗売上との相乗効果を狙う」の二つ、出来ればその両サイドからネット通販への抵抗力を高める工夫が必要になってきました。
昔はレンタル市場にも山のように沢山のソフトを在庫して店内のあちこちの棚から面白そうな作品が色々顔を出している楽しい店がありました。映画にやたらと詳しい店長さんがいたりして面白く、結構繁盛していました。
②の例として注目したいのが市場全体のEC(電子商取引)比率が30%と高い家電市場で今も業績が好調なビックカメラです。家電等はどこで買っても品質や型番が変わりませんから、実物をリアル店舗で確認してネットで最安値のサイトを探す(ショウルーミング)が一般的になってきましたが、ビックカメラではこうした購買行動を逆手にとって「実店舗はショールームでいい」と割り切りAmazonをはじめ、楽天市場やYahoo!等の大手ECサイトに積極的に出店することで実店舗との相乗効果を挙げています。
米国での相乗効果の例としてはそのAmazonがウォルマートその他の大手小売チェーンの反撃に合って業績の伸びが減速しているといいます。消費者に大好評なのがネットで注文した商品を店頭で受渡しするという一見何気ないウォルマートのサービスです。Amazonに注文すると配達は通常二日後といいますから、このサービスは注文したらスグ欲しいという消費者ニーズを満たしているのでしょう。同サービスに付帯するキャッシュレス、昼休みに注文して仕事の帰りに受取る、車に乗ったまま注文した品をピックアップ、等々といった商品受け渡し時の工夫も消費者に好評のようです。ウォルマート社のEC事業売上は40%伸び、同様のサービスを導入したディスカウンターのターゲットも急激に業績が回復したといいます。