2019.3
【著者:村松 行人】
パッケージのサバイバル戦略
③動画配信では観られない映画(3/4)
小さなサービスの中に潜む大きなニーズ
SVODは食べ放題バイキングだと喝破するMedia Play Newsの記事を参考にすれば、映像配信サービスに対抗するレンタル店の戦略は前述の通り映画館の興奮をそっくり再現するような店作り、魅力ある傑作映画を網羅した棚作りではないでしょうか。
「店を変えるとお客様が変わる」とよく言われますが、店のレイアウトを変える、POPを取り換える、棚の陳列を変える、といったリニューアルが新しいお客様を作るきっかけになるのは確かです。
ECとの相乗効果を狙うのなら、メール、SNS等による新作予約、取り置き、他店からの取り寄せ等のサービスを実施することですが、こうした以前は難しかったサービスもスマートフォンの普及や様々なアプリの応用で今なら可能かもしれません。出来ることから始める、といった無理のない取組みがポイントです。また、上記ウォルマートのように一見シンプルなサービスに大きなニーズが潜んでいるのかも知れません。
ドラッグストアが展開し成功している商品ディスカウント戦略は、長年100円戦争に苦しめられたレンタル市場にとって悪夢以外の何物でもありませんがその効果を無視することはできません。長期的なディスカウントは財務体質悪化の元凶ですから論外ですが、最近お客様の足が遠のいている、とか新入会者数が少なくなった等といった心配がある場合にはスポット的に期日を限定して料金を安くするキャンペーンは有効だと思います。ドラックストアの実践例のように単なる安値で集客するだけでなく利益率の高い商品を正規の価格で売り、しっかり収益を確保する二段構えの仕組みが参考になります。
同様にヤオコーの「おすすめメニュー」という献立提案にしてもスーパーでは最も利益率の高いPB商品(プライベートブランド)や店内で調理する総菜を来店者にお勧めする戦略で成功しています。数種類の作り立ての総菜をそれぞれ大皿に盛り、お客様は自ら好みの総菜を食べたいだけ容器に取り、傍らに設置された自動計量器で金額を算出します。最近は他のスーパーでも見かけますが、この事例も消費者の節約志向だけでなく、家庭内の調理が不要、グルメ志向といった多角的なニーズに対応したサービスだと思います。