2019.5
【著者:村松 行人】
パッケージのサバイバル戦略
⑤リアル店ならではのサービス強化(3/4)
レンタル店のサービス・店作りを見直す時期
Amazonは昨年シアトルに完全無人レジの食品リアル店舖「Amazon Go」をオープンして話題になりました。IT技術のトップ企業が作った最新の自動会計レジを見ようと日本を始め世界中からの見学ツアーが押し寄せているようですが、早くも2月には秋葉原にAmazonとそっくり同じシステムのキャッシュレス・カフェ「Developers.IO CAFE」がオープンしました。
また中国には米国Amazonの先を行くと評判のAlibabaの食品スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)の無人レジ・システムがすでに稼働しており、これも世界から注目されています。
この先小売市場では急速かつグローバルにセルフレジ・システムの普及が進みそうです。
しかし、心配はこれから小売市場がこうした無人化、省力化にばかり目を向けていて本当によいのかという問題です。システムのメリットがあまりにも使う側の経済効率ばかりで、利用するお客様側からの視点が欠けているからです。お客様のメリットは「レジ待ちの時間が短くなる」こと位いでしょうか。
米国ではウォルマートがニューヨーク近郊に開設していた無人レジのパイロットショップ「スキャン&ゴー」を閉鎖し、無人システムのテストを中止しました。ウォルマートにとっても省人化・省力化は避けて通れない重要課題であることはいうまでもありませんが実験中止の理由は
①無人レジを導入してもあまり売上向上には結びつかない一方で、顧客満足度の大幅な低下を招く恐れがある
②店舗に従業員を戻すことが顧客満足の向上につながる
ということのようです。行きすぎた無人化・省人化がリアル店舗の無味乾燥化を招き「こんな店で買い物をするならネットで購入した方がマシ」と考える顧客が増えるのでは、という恐れでしょう。
ウォルマートがその重要性に改めて気付いた顧客満足度を高めるリアル店舗ならではのサービスは「接客」です。お客様一人ひとりと向き合い心を通わせる接客は小売りの原点であり、ネット通販では難しい顧客対応です。参考までに以前、店長研修会で勉強した店長さんが常時スタッフに徹底しなければならない顧客満足を高める「接客五原則」を書き止めておきます。
①お客様に笑顔で「いらっしゃいませ」の挨拶ができていますか?
②店内では常に緊張感をもってお客様を意識していますか?
③いつでもお客様と向き合い、笑顔で応対ができますか?
④問い合わせには丁寧に応対し、お客様は満足しましたか?
⑤会計後、きちんと「有難うございました」と挨拶できていますか?