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2018.11

【著者:村松 行人】

コンテンツ大競争時代が来た
⑨変わりつつある映画館興行ビジネス(4/5)

興行市場活性化へのアプローチ

最近少し元気のない、映画興行市場の活性化について考えてみましょう。レンタル市場にも参考になると思います。人々をリビングの大画面テレビから引っ張り出すのは大変な作業ですが、映画館市場の活性化はそんなに難しいことではないような気がします。

基本的に米国人の「映画館ニーズ」に衰えはないと思います。最近の「定額制見放題サービス」への反響の大きさと速さは「映画館へ行きたいけれどチケットが高すぎる!」「もっといい映画を沢山観たい!」といった気持ちの正直な現われだと思います。

そうであれば興行市場活性化へのポイントは①人々を夢中にする優れた作品を豊富に公開する、②リーズナブルな入場料金の実現、③パッケージ市場の維持と活性化、の3つではないでしょうか。

①の人々を夢中にする優れた作品、についてはメジャースタジオその他映画の制作者に期待するほかありませんが、映画館チェーンにも市場活性化への相応の自助努力は必要です。目指すべきは「観客動員力の強化」です。具体的には、リピーターを増やすこと、映画館からファンの足を遠ざけない工夫です。

誰しもしばらく映画館から足が遠さかると映画を観に行くのがおっくうになります、でも一旦観始めるとまたすぐ行きたくなる、といった経験があると思います。こうした映画が好きな人の習性を踏まえて「次回の割引チケット」や様々な料金割引等は有効だと思います。売店のドリンクやポップコーンの5~10%割引、その他の様々な優遇サービスを盛り込んだメンバーシップの登録で次回の上映作品案内等、今ならスマートフォンのアプリで色々出来そうです。

米国では一昨年あたりからプレミアム・シーティング(リクライニングシート)、ダイン・イン・シアター(食事をしながら映画鑑賞)、座席にビールやカクテルを運んでくれる、といった館内での飲食サービスが確実に観客動員率を上げ、売店売上の増収が実現したことがデータ的にも明らかとなり注目されています。

②の観客動員率を高めるためのリーズナブルなチケット料金の実現については上述の通りMoviePassやAMCのStubs A-Listを皮切りにこれから色々な「定額制映画見放題サービス」が出現し、それが映画館ビジネスの大きな流れになると思います。

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