2018.9
【著者:村松 行人】
コンテンツ大競争時代が来た
⑦転換期を迎える米国の映画興行市場(4/5)
店作りの原点「店はお客様のためにある」
以前にも書いたことがありますが、「店は客の為にある」というリアル店舗経営への不朽の名言があります。一見あたりまえのこの一文に、レンタル店が再びお客様に支持され喜ばれる店に生まれ変わるための全てが言い尽くされていると思います。
「お客様に支持される店つくり」への第一歩は、データをもとに自店には、どんなお客様が、いつ、何を借りに、どのくらい来店しているのか、について正確に把握することです。どの店でも把握している①ジャンル別売上、②時間帯別売上、③曜日別売上、④年齢・性別会員構成、⑤地域エリア別会員構成、等の基本データをクロスさせてじっくり見ることで来店されるお客様のプロフィールやレンタル行動、在庫作品の動き等々についてより詳細な「情報」を把握することです。
「お客様に支持される店つくり」への取組みへのポイントは3つ、第1に整理したデータから自店のストロングポイント(①高回転している作品傾向やジャンル、②来店が多い客層、③高売上の曜日、④同時間帯、⑤来店するお客様が多い住まいのエリアetc)等を把握し、明らかとなった自店の強みの部分の一層の強化策を考え実行すること。第2に自店のウィークポイントを把握し、改善の可能性を探ること。第3は全ポイントの中から「伸びしろ」の大きいポイントを探し出し強化策を考えることです。
上記3ポイントは共に大切で全てに取り組まなければなりませんが、とりあえず第1の自店の得意分野をより強化することから始めるのが現実的です。理由は第1ポイントは強化の結果が最も出やすい部分だからです。良い所をより伸ばすエネルギーは弱点をプラスにする労力に比べればはるかに少なくて済み、簡単です。
例えば「自店は洋画系TVドラマの高回転が顕著で、主に借りるのは30代後半から40代の女性客」というデータがあるとします。であれば、30~40代の女性客を増やせばよい訳です。①特に女性客が好みそうな傾向・ジャンルや人気俳優出演ドラマの仕入・在庫をより強化する。②POPやパネル等でコーナーや作品を目立たせる。③シーズン1の無料レンタルやまとめ借り割引料金、その他女性客が喜ぶこと・借りやすいサービスを徹底する、といった取り組みです。
同様に一口に洋画、邦画、アニメといっても作品傾向も内容も違いますから、データからもう一歩踏み込んで傾向別に自店での回転力や主な客層を把握します。加えてそれぞれの品揃えや棚の現状や問題点はないか等をきちんと把握します。そうした一連の作業により各アイテムの自店でのストロングポイントやウィークポイントが明らかになると思います。
- [1]苦境のMoviePassと低迷する米国映画興行
- [2]MoviePassは映画興行界のNetflixという説
- [3]お客様に支持されるレンタル店の再構築
- [4]店作りの原点「店はお客様のためにある」
【村松 行人】
田辺経営(株)、教育出版(株)を経て現代教育企画設立。
1986年、ビデオショップ経営研究会を主催。
全国550余のビデオレンタル店の経営診断・主導をしている。
衛星放送・スカイパーフェクトTV Eチャンネル番組審議委員長。
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